★更新履歴
・2019.4.14 登録 ・2020.12.15 アキュラーター故障修理追加 ・2021.4.24 HPのアドレス変更 ・2022.2.22 写真サイズ変更
・National 深井戸用ポンプ(PG-401FS)を約30年前から、ほぼ毎日、短時間ながら植木や草花の水やり、芝生の散水や洗車などで使用していますが、これまでに、3度不具合が発生しており、
その度に、自己流で対処してきましたので、その方法を掲載しました。
★故障修理方法および仮処置方法は以下の通りです。
①故障修理-------------------ポンプが動かなくなり、水が出なくなる。(羽根車用ワッシャ―の破損)
②故障修理【仮処置】-------ポンプが頻繁に起動される。(アキュムレータの破損)
③故障修理-------------------ポンプ本体に水があふれ出る。(コントロールバルブ弁の破損)
★すべての写真はマウスをかざすと拡大します。
①故障修理---ポンプが動かなくなり、水が出なくなる。
・約15年程度使用してから初めて発生した故障で、ポンプ内部で回転している部分が何かに当たっているような大きな異音がして、急に水が出なくなりました。
・モーターはすぐに自動的に回転を停止しました。
・後で考えると1~2週間前から少しおかしな音がしていたような気がしましたが、そのまま使用を続けていました。
・ポンプカバーを外してポンプ本体を見ましたが、汚れや錆びが目立ちましたが、水漏れや部品の破損など見た目に異常は見当たりませんでした。 |
・まず最初に考えたのは、モーターの故障で、モーターが正常に動作するかを確認するため、電源を強制切断していると思われる丸印の赤ボタンを押し込みました。 |
・以上の様子から、モーターの回転が停止するのは空回転になるのを防ぐため電源を強制切断している為でモーター本体には異常がないと思われるので、 制御装置やセンサーの部品故障など専門知識が必要な故障原因の場合は修理をあきらめるつもりで、とりあえず素人のできる範囲で、故障原因を調べることにしました。
・まずは、大きな音がしたポンプ周辺を分解することにしました。
・安全のため、AC100Vの電源コードをコンセントから抜きました。 |
・4本のボルトを抜き「ケージングカバー」を外した状況です。「ケージングカバー」に接続されている吸い上げ用の2本の水道管は外す必要はありません。 |
・2個のボルトを外せば「案内羽根」は外れます。 |
・ポンプ内部は15年間の使用による赤っぽい水垢がこびりついていました。 |
・正常な状態なら、羽根車を回転させる回転軸の内側から「羽根車」・「羽根車用ワッシャ―」・「羽根車固定ナット」の順に固定されているはずなのに、
「羽根車用ワッシャ―」が無くなっていました。これが羽根車をモーターの回転軸に固定できず空回りし、水を出すことが出来ない原因と想定できました。
・この写真は「羽根車」と「羽根車固定ナット」を外した状態で撮っています。 |
・左の「構造・機種品番」の図面から、破損した「羽根車用ワッシャ―」の機種品番が【PIP-E2525】であることがわかりました。 |
・なぜ、「羽根車用ワッシャ―」が葉損したのか理由はわかりませんが、異音が発生した原因は高速で回転して水を遠心力で押し出す羽根車と、羽根車を固定する「羽根車固定ナット」の間にある「羽根車用ワッシャー」 が破損して無くなったため、羽根車が羽根車を覆っている案内羽根に接触して事が原因と想定しました。 |
・以上の状況なので、新品の羽根車用ワッシャーを購入するため、市内にあるテラルKK営業所(平成20年にナショナルポンプは、テラル株式会社に事業譲渡しています)に在庫の有無を問い合わせると、在庫があるとのことなので、購入し、取り付けました。
・購入した「羽根車用ワッシャ―【PIP-E2525】」を取り付けました。「羽根車」【PIP-A0409】と「羽根車固定ナット【PIP-E1029】」は、故障原因に無関係でしたが、ついでに新品と取り換えました。 |
・分解した逆の手順で「案内羽根」、「ケージングカバー」を取り付けました。 |
・羽根車を覆っている蓋(ケージングカバー)を外したため、ポンプ内部の水が外へ流れ出たので、呼び水を給水口から入れました。 |
・呼び水はあふれ出るまで入れ、蓋(ケージングカバー)を閉じました。 |
・抜いていたAC100Vの電源コードをコンセントに差し込みます。 |
・故障が発生した今から20年前は、現在のようにWebなどで故障事例を簡単に収集できる環境でなく、私自身、井戸用ポンプの知識など全くなく、 ポンプの構造、分解方法、部品の調達などわからない事が多く苦戦しましたが、分解をしている中でポンプの構造など知ることが出来、有意義な修理経験となりました。なお、破損して取り換えた羽根車用ワッシャ―【PIP-E2525】の価格は105円でした。
②故障修理【仮処置】---ポンプが頻繁に起動される
・使用して15年以上過ぎたころ、蛇口から極少量の水を使用する場合に、ポンプのモーターが頻繁(1秒間隔程度)にON・OFFを繰り返す状態になりました。
圧力センサーらしき物がある事や気体が挿入されているらしきボンベ(アキュムレータ)の上部に
「封入圧力1.4kgf/cm2 キャップを外したり、給気弁に触れたりしないで下さい。吸入気体が漏れます」
と注意書きがあったので、素人判断で水圧を調整するアキュムレータに封入された気体が漏れて適正な圧力調整ができなくなった為の不具合と考え、
新品のアキュムレータの購入を考えましたが、新品価格が12,000円程度する事とアキュムレータ本体以外に、モーター制御部、センサー部分など、他の箇所の故障が原因の可能性があり、この時点ではアキュムレータ本体が故障箇所と判断できませんでしたので、
無駄な出費になる可能性もあるので、 アキュムレータの購入をやめて、まずは、原因を探ることにしました。
・通常の水量では異常なく使用できましたが、このような極少量の水を使用時に、ポンプのモーターが約1秒ごとに、ON・OFFを繰り返すようになりました。故障前の正常時は極少量の使用で蛇口を開けてもモーターはすぐ起動されず、ある程度の水量が流れ出た後に起動されていました。 |
・圧力センサーに「切 2.1kgf/cm2 入 1.8kgf/cm2」の表示がありましたので、素人なので細かいメカニック的なことはわかりせんが、ポンプ内の圧力変動をこのセンサーで監視して、モーターのON-OFFを制御していることが想定できました。 |
・その当時、このアキュムレータ【PPT-J0402B】の構造はわかりませんでしたが、私の拙いアキュムレータの一般常識程度の知識から、故障の原因はアキュムレータ内の窒素の圧力が減少し、極少量の水の使用でもセンサーが過敏に反応し、
モーターのON・OFFを繰り返す為と想定し、圧力が減少した窒素に変え空気を入れて圧力を高める方法を行うことにしました。
・ 空気を追加しようとして先端にあるキャップを外して、中の小さなピンを指で押すと水があふれてきました。このように水が噴き出してくるのは、アキュムレータ内にある水を入れるコム袋のような物が劣化して破損している事が考えられました。 |
・以上の事から私が想定した故障の原因です。
・アキュムレータは分解しませんでしたので、故障した当時は内部構造がわかりませんでしたが、最近、内部の写真がHP:アキュームレーター式井戸ポンプの構造と 修理 (https://as76.net/life/idopump.php)に掲載されていましたので、その写真を追加しました。
★仮処置手順
①電源を入れたまま、アキュムレータの給気弁キャップを外し、中心にあるピンを押すと水をあふれ出ます。
②ポンプが起動しないように電源をOFFにし、蛇口を開くと、蛇口から多少の水が流れ出ます。
③蛇口を開いたまま、アキュムレータ内の水を排出するためアキュムレータの給気弁から「空気入れ」で蛇口から※1 「500~600cc」程度流れ出るまで空気を入れます。
④蛇口を締め、再度、アキュムレータの給気弁から「空気入れ」で空気を※2 適度な圧力まで挿入します。
⑤空気を挿入後、アキュムレータの給気弁キャップで閉じ、電源コードをONにすると瞬間的にモーターが回転しますがすぐ停止するはずです。
これで仮処置は終了です。
※1---おおよその量で根拠のある数値ではありません。
※2---「空気入れ」を使用しているので圧力の数値はわかりません。
・自転車などで使用している「タンク付き空気入れ」を使用しました。 |
・仮処置を実施後、写真のように蛇口を開き、少量の水(400cc程度)を流れ出た後にモーターが起動され、使用後は蛇口を閉じてもモーターは瞬時に停止せず、1秒程度経過後に停止するように、仮処置手順の①~⑤を繰り返し、アキュムレータに挿入する空気の量(圧力)を調整しました。 |
・このアキュームレータ【PPT-J0402B】はPG-401FSの後継機種PG-402FDCで使用している【PPT-J0325】を代替として取り換え可能のようですが、この仮処置で問題なく使用できるので、このまま使用を続けています。
ただ、注入した空気は自然に減る(?)ようで、これまで2~3年ごとに、同じ症状が出て、その時は上記の仮処置手順で空気を追加しました。
③故障修理---ポンプ本体に水があふれ出る
・ポンプ本体内での少量の水漏れは、屋外に設置している上に、ポンプカバーを取らないとを見ることができないため、ポンプカバーを掃除時に偶然発見するまでは、全く気が付きませんでした。漏れる水はわずかで
普通に使用できたので ビニールで排水して急場をしのいでいましたが、1ヶ月間ぐらい過ぎたころ、突然、「コントロールバルブカバー」の部分から大量に水があふれ出るようになり、蛇口からは全く水が出なくなりました。
・家屋脇の植木や生垣に囲まれた目立たない場所に設置しているので、水が漏れているのは全く気づきませんでした。 |
・蛇口を開きポンプが起動されると「コントロールバルブカバー」の部分から極少量なので水が漏れていましたが、仮処置でビニール袋で排水しながら使用していました。 |
・後になって思い出すと、時々、水道を使用していないのに、モーターが起動されている音が聞こえることがありました。その時は全く気づきませんでしたが、水がわずかに漏れていたため、アキュムレータに水を補給するモーターの起動の音だったようです。
・このまま普通に使用出来ていましたが、約1ヶ月を過ぎたころ、蛇口を開けモーターが起動されても、蛇口から水が出なくなりました。ポンプカバーを外して見ると「コントロールバルブカバー」の部分から、水が大量に吹き出ていました。 |
・とりあえず、水があふれ出ないように、電源コードを抜いて、モーターを停止させました。まずは水が溢れ出る箇所を分解して調べる事にしました。 |
・水が溢れ出る「コントロールバルブカバー」周辺を分解する前にネジを緩めると内部に残っていた水が流れ出るので、モーター制御用電子部品に水がかからないようにタオルを掛けた後、4本ネジを外しました。 |
・4本のネジを外せば、 「コントロールバルブ」は、簡単に取り出すことができます。 |
・取り外した「コントロールバルブ弁体」、「コントロールバルブカバー」、「スプリング受板」「コントロールバルブスプリング」です。ゴム製蛇腹状の一部が劣化し破れており、ここから水が流れ出ていたようです。 |
・コントロールバルブ弁体を外した状態のポンプ本体部分の状態です。ポンプが起動する度に、 「コントロールバルブ弁体」はポンプの水圧で圧縮され、隙間ができ、下側にある蛇口のほうへ水を押し出すようです。 |
・ 家庭用ポンプの補修用部品について、最低保有期間は製造打ち切り後8年となっているようです。故障したポンプPG-401FSは1991(平成3)年に製造中止になってから、
約30年になるので、メーカーに、 部品の在庫はないと思われましたが、運が良ければ、後継機種が同じ部品を使用している可能性があるので、テラル株式会社のHPで後継機種で、
同じ部品(コントロールバルブ弁体)が継続して使用されているか調べることにしました。
・なお、PG-401FSについては、現在、HPには掲載されていませんので、以前1回目の故障時にテラル株式会社からいただいた部品図を参考にチェックしました。
・構造展開図・ポンプ機種互換一覧表・部品展開図・部品明細表を下記の表にまとめました。
構造展開図及び部品明細表 | 参考HP 等 | |
PG-401FS | 構造図・機種品番(pdfファイル) | HPには未記載。以前、私がテラル株式会社からFAXで受領したもの。 |
ポンプ機種互換一覧表 | ポンプ機種互換一覧表 | https://www.teraltaku.co.jp/download/henkan02.pdf?20210423 |
PG-402FDC | 部品展開図・部品明細表(pdfファイル) | http://www.teraltaku.co.jp/frmCearch_03.aspx?Bunrui=2&Cat=1&KisyuRegNo=76&Page=1 |
①上表のとおり、今回 劣化破損した、「コントロールバルブ弁体(PCV-B4511)」 は、幸運な事に後継機種PG-402FDCでも使用されている事が分かりました。
②コントロールバルブ弁体(PCV-B4511)の在庫状態を市内にあるテラルKKの営業所に問い合わせると、九州地方の営業所にあるとの回答があり、数日後に自宅に 配送されました。
・新品と比べると破損状況がわかります。ポンプが駆動中は圧縮され、停止すると元の形の戻る繰り返しで劣化して破損したと思われます。 |
・新しい「コントロールバルブ弁体」に、継続して使用する「スプリング」、「スプリング受板」、「コントロールバルブカバー」を組み立て直した状態です。 |
・ネジ4個で本体に取り付けるところです。水圧がかかるので漏れないように締めてください。ただしネジの受け側がプラスチック製なので多少の加減が必要です。 |
・ネジを締めれば修理完了です。 |
★確認事項
①電源コードを差し込むとポンプは一瞬 空周りした後、すぐ停止します。
②蛇口を開き、正常に水が出ている事と、念のため修理した「コントロールバルブ弁体」から水漏れがないか確認してください。
・もしモーターが回転しても、蛇口から水が出ない場合は、水位が下がっている可能性があるので、給水口から呼び水を入れてください。
給水方法は①故障修理の5.修理後の確認に記載しています。
・コントロールバルブ弁の価格は当時(2008年)は1,300円(税別)でした。
・このポンプは30年以上、短時間ながらほぼ毎日使用していますので、これまで修理で取り換えた部品以外にも劣化が進んでいる事が考えられ、いつ壊れてもおかしくない状況 で、今後どの部分に故障が発生するかわかりませんが、修理可能な故障なら修理して続けて使用したいと思っています。
以上です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
上記以外にHPとYouTubeを作成しておりますので、お手すきの際にでも見て
いただければ幸いです。
(矢印をクリックすれば、ジャンプします。)